メルセデスベンツ、スプリンターバンは欧米での新しいキャンピングカーのスタイル(2019年改訂版)
メルセデスベンツといえば、高級車のイメージですが、本国ドイツではトラックやらバスや商用車なども出しているオールマイティな車の製造会社。
そのメルセデスが出しているスプリンターバン(Sprinter Van)という背の高いバン。基本は配達などに使う商用車ですが、このスプリンターバンがキャンピングカーとしてアメリカやヨーロッパなどで最近人気急上昇中なんです。
メルセデスベンツ スプリンターバン↓
日本でもときおり見かけるようになってきましたね。
今回は今後キャンピングカーとして大活躍しそうなベンツスプリンターバンを紹介します。
(注:2019年8月に追記しています)
コンパクトで普通の車のように運転できる。
スプリンターバンには3つサイズがありますが、いちばん小さい144タイプだと、大きめな乗用車と長さがほぼ同じ。なのでアメリカの場合、スーパーなどにある駐車場や道路に設置されているメーター式のパーキング(有料の路上駐車)に駐車することができるのです。
キャンピングカーを運転する上でのチャレンジは、大きすぎて街中を走るのが大変なこと。とくに駐車場さがしはとても大変。
2台分の駐車スペースにどかーんと駐車しているキャンピングカーをよく見かけますが、144タイプのスプリンターなら普通乗用車と一緒に駐車できるのです。
これってアメリカ横断などであちこちの街を立ち寄りたい場合に、とっても便利。ただし背が高いので建物式や地下駐車場には入れないんですけどね。広いアメリカ、ただっぴろい土地にどどーんと駐車場が設置されているショッピングセンターがほとんどなので、それほどこまることはないのです。
ニューオーリンズにあるフレンチクォーターという旧市街地でも、普通にパーキング↓
フレンチクォーターはアメリカではめずらしい細い道にみっちり建物が立ち並ぶ市街地ですが、スプリンターならすいすい走れてパーキングだって心配なし!
ちなみにスプリンターには背の高いハイルーフ(high roof)と普通の高さのスタンダードルーフ(standard roof)がありますが、キャンピングカーとして改造する場合はほぼ100%ハイルーフのスプリンターが使われています。
なんといってもスプリンターの魅力は車内の天井が高いこと。背が高い人でもまっすぐに立つことができるのです。
スプリンターをキャンピングカーとして購入する場合の選択肢
スプリンターは商用車。アメリカでは宅配便の配達(フェデックス)やホテルの送迎バス、また救急車などに使われています。
アップル社の社員送迎車両としても使われているので、アップル本社のあるシリコンバレーに来るとよく見かけます。
ベンツとしてはキャンピングカーとして売っているわけではないので、キャンピングカーとして利用するには
1)キャンピングカー改造専門の業者からキャンピングカーとして出来上がっているスプリンターを買う
2)貨物用のスプリンターを購入した後、自分の好きなデザインで業者にオーダーする
3)貨物用のスプリンターを購入した後、自作でキャンピングカーに改造する(DIY)
という選択になります。
貨物用(=Cargo)のスプリンターの内部は、まるで軍用機のよう。なにもありません。↓
すでにキャンピングカーに改造してあるスプリンターを購入する
アメリカ国内には、貨物用のスプリンターをキャンピングカーに改造して販売している業者がいくつかあります。
自分の好みの仕上げにはならないかもしれないけれど、出来上がったものを見てから購買することができるのがメリット。
住宅にたとえると、建売住宅を買う感覚ですね。
ただしキャンピングカーにすでに改造されたスプリンターはびっくりするくらいお値段がはります。
たとえば、カーゴのスプリンター144で1トンまでの重量を積むことができる3500シリーズはだいたい500万前後くらいですが、これがキャンピングカーに改造されると1000万近くになってしまいます。
これは改造業者がスプリンターのキャンピングカーを高級感あふれたキャンピングカーとして売り出しているからで、たとえば内装にしても上質な木の素材を使ったキャビネットや、大理石でできたキッチンカウンター、自動で開閉するブラインドなど高級な素材を使っていることが多いのです。
もちろん業者ががっつり利益を出している、というのも事実です。
業者へカスタムメイドのキャンピングカーをオーダーする
業者に自分の好きなデザインでキャンピングカーの改造を注文することもできます。
住宅にたとえると、いわゆる注文住宅なんですけど、これが案外安くついたりするんです。
というのも前述したように、改造業者は高級キャンピングカーとして売るために、高級素材を使って価格を引き上げています。
しかし、スプリンターのキャンピングカーに興味はあるけれど、高級じゃなくてもいい、というお客さんもいるわけです。
そういう顧客層はシンプルなデザインで材質などにもごだわらないキャンピングカーを好みます。
たとえばキッチンなどもコンロやオーブンなどをそろえた完全装備のキッチンではなく、電子レンジと流し台だけにしたり、シャワーは外付け、トイレはポータブルを設置するなど、あちこちで費用を抑えることができるのです。
ただし業者にオーダーした場合は、最終的に自分の想像していたものと違ったものになってしまうリスクがあります。
自作でスプリンターをキャンピングカーに改造する(DIY)
ものを作るというスキルを持っている人たちは、自分たちでキャンピングカー改造に挑戦します。
断熱剤などいっさいいれずに、木枠でベットや棚をつくっておもいっきり手作り感あふれる自作から、本格的に内装に手をいれてつくる自作キャンピングカーまでざまざまなスタイルがあります。
我が家では本格的なキャンピングカーの自作に挑戦しています。
うちのダンナはジェネラルコントラクターといって家の建築やリモデルを請け負うプロ。日本的には工務店といったかんじでしょうか。なので家のリフォームと似た手順でキャンピングカーの改造ができるだろうと思ったわけです。
彼の大工や配管、電気系統のスキルが役にたっているのですが、実際に始めてみると車の改造と家のリフォームは違うことが多すぎでとまどうことばかり。
改造計画は壁にぶちあたりながら、プロの力もところどころで借りながら、スローモーションで進んでいます。
我が家のスプリンター、自作キャンピングカー改造計画
スプリンターを購入して最初の2年は、業者に窓と簡易ベットだけをつけてもらってとりあえず使っていました。
本格的なキャンピングカー改造を始めたのは去年の秋からです。
我が家のスプリンター、屋根にはソーラーパネルが2枚乗っかってます。↓
改造計画では、ベット、キャビネット、キッチン(流しとガスコンロ)外付けのシャワー、水のタンク(使用する水と汚水用)、冷蔵庫、ダイニングテーブルといす(=オフィスにもなる)を装備する予定。
すでに装着済みの2枚のソーラーパネルからは必要最低限の電力を供給できるようし、天井には2枚のファンをつけて空気の循環と気温を調整します。
トイレと室内のシャワーを設置するかどうかは最後まで迷いましたが、我が家がワンコ3匹大人2人の大家族。
ワンコ3匹のためのスペースを考えるとトイレと室内シャワーをつけたら狭すぎちゃいます。
なのでシャワーは外付け、トイレはつけないか、つけるとしても小さなポータブルを非常用として設置するだけになりそうです。
トレーラーを牽引することによって、スペースを増やす
144シリーズのスプリンターは、コンパクトなのが強みですが、その分内部のスペースに限りがあります。
170シリーズにすれば、全長が長くなるのでかなりスペースに余裕ができますが、長くなる分フットワークが悪くなります。
前述した改造済みのキャンピングカーの場合は170シリーズを使ったものが多いようです。
私たちの解決策は、アメリカ大陸横断などの長期にわたるロードトリップの場合は後ろにトレーラーを牽引して車内スペースを増やすことでした。
トレーラーを牽引すると、フットワークがいきなり重くなります。
ただしトレーラーを牽引する利点は、街中を走り回りたいときはRVパーク(=キャンピングカー専用の宿泊施設で電力の供給や給水、汚水の処理ができる施設がついている)にトレイラーを残して、スプリンターだけで移動できること。
トレイラーを切り離せば身軽なスプリンターにもどることができるんです。
これはアメリカでよくある、キャンピングカーに乗用車を牽引して旅をするパターンの逆の発想でした。
大型キャンピングカーはものすごくフットワークが悪いので、移動先ではRVパークにキャンピングカーを残して、牽引してきた乗用車で現地を移動します。
私たちの場合は、スプリンターを乗用車として使うことができるので、荷物を積んだトレーラーをRVパークに残して移動するわけです。
2014年にはトレーラーをくっつけて、ドライブ旅行に出発。↓
この旅行ではアメリカ南西部を3週間かけて周りました。スプリンターの内部の装備は簡易ベットとソーラーパネルで作動する冷蔵庫、トレーラーにはバイクやウインドサーフィンの道具などの荷物のほかに、簡易トイレとキャンピング用のガスコンロを設置。キャンピングカーといえるレベルではなかったけれど思ったよりも快適に旅行をすることができました。
テキサス州のRVパーク↓ 市街地に行くときにはこのパークにトレーラーを残してスプリンターだけで出かけます。
我が家のスプリンター改造計画の詳細はこちらでまとめていますので、ぜひご参照ください:
雪山仕様のスプリンターについて*2019年8月現在
現在では四輪駆動のスプリンターバンも販売されており、最近ではキャンピングカー仕様で4輪駆動のスプリンターも多く見かけるようになりました。《2019年8月現在)
ちなみに2輪駆動のスプリンターよりもベースの価格が約200万円ほど高くなります。
雪山生活をしているにもかかわらず、我が家のスプリンターは2輪駆動。
私たちがスプリンターを購入したときには4輪駆動のモデルは発売されていなかったのですが、もしも四駆の選択があったとしても四駆を選択することはなかったとおもいます。
まずネックなのが、四輪駆動のハイルーフタイプでは車体が長い170のタイプしかないということ。144では背の低いスタンダートルーフになってしまい、短いタイプ(144)でハイルーフが絶対条件だったので、この時点で四駆の選択はアウトです。
また、冬タイヤ(スタットレス)に付け替えることによって2輪駆動でも十分に雪道を走ることはできます。スキー場周辺では2輪駆動のスプリンターがホテルのゲスト送迎用のバスとして多く使われているのです。ただしスプリンターのタイヤは前輪2本と後輪4本なので計6本のタイヤが必要になり、冬タイヤのお値段はかなり高くなってしまいます。
我が家では数年後に計画しているアラスカへのキャンプ旅行をする時に、スタットレスに付け替えることを予定にしています。
まとめ
キャンピングカーでの旅行はとっても人気のあるアメリカンなバケーションの過ごし方。
超大型の観光バスサイズから小型のものまでいろいろな種類があるキャンピングカーですが、スプリンターバンはその中でも新しくてちょっとクール(=かっこいい)なスタイル。
駐車場などでも、知らない人たちからスプリンターについて質問されることが多いのです。燃費はどう?乗り心地はどう?スプリンターを買ってよかった?などなど。
昨年初めて四輪駆動のスプリンターが発売されたので、これからますますキャンピングカーとしての需要が高まると思います。
日本でもキャンピングカーとしてもっと紹介されるようになるといいですね。